こんにちは。
爽一郎です。
デフォルトの行動、というものは人が困ったときにとる行動として染み付いています。
昼ごはんで悩んだらカレーを食べがち。
色で悩んだら黒を選びがち。
意思決定をする際に、判断に困るとこのデフォルトが現れます。
非常に便利で、あれこれ悩まずとも意思決定できてしまいます。脳の便利機能ですね。
ですが、デフォルトの行動ばかりしていると、「新しいこと」はできません。
■みんなのデフォルト、マクドナルド
ショッピングセンターに行ったときの話です。
昼ご飯をフードコートで食べました。
小さいショッピングセンターだったので、それほど多くの店があるわけではありません。
ほとんどは見たことない店でした。
そんな中で、見たことある店が一件。マクドナルドです。
見ると、マクドナルドだけ長いの人の行列が。
それもそのはずでしょう。
他の店は見たこともない、おいしいか分からない店です。
よって、みんな味を知っている、安心できるマクドナルドをデフォルトとして選ぶのです。
正直、海外出張にいってもマクドナルドを私は良く使ってしまいます。
せっかく海外来たんだから、どうせならそこでしか食べられないものを!
そんな思いもありますが、結局味が安定しているマクドナルドをついつい頼ってしまうのです。
人間には、過去の経験から保守的にリスクを回避する意思決定をする癖があります。
ノーベル賞を受賞した心理学者であるダニエル・カーネマンは著書『ファスト&スロー』でこう述べています。
『ポールはA社の株を持っています。去年一年間、ポールはB社株に乗り換えようか迷っていましたが、結局そうしないことに決めました。ところがいまになって、もしA社株を売ってB社株を買っていたら、一二〇〇ドルの利益が得られたはずだとわかりました。
ジョージはB社の株を持っていたのですが、去年A社株に乗り換えました。ところがいまになって、もしB社株を持ち続けていたら、一二〇〇ドルの利益が得られたはずだとわかりました。
より深く後悔するのは、二人のうちどちらでしょうか?
結果は明快で、回答者の九二%がジョージだと答え、ポールと答えたのは八%に過ぎなかった。
これは興味深い。というのも、客観的に見れば二人の状況はまったく同じだからである。どちらもいまはA社株を持っており、どちらも一二〇〇ドル儲けそこなった。唯一のちがいは、ジョージは行動してその状況に立ち至り、ポールのほうは行動せずにそうなったことである。この簡単な例は、より大きな枠組みを暗示している。すなわち、行動して生み出された結果に対しては、行動せずに同じ結果になった場合よりも、強い感情反応が生まれるということである。この感情反応の中には後悔も含まれる。
(中略)
このようなバイアスは多くの場面で見られる。たとえば、ショッピングで後悔したくないという気持ちが強いと、無名の商品よりブランド品を選ぶなど、保守的な選択に走りやすい』
つまり、デフォルトと異なる行動をして失敗してしまったとき、デフォルトの行動した時と同じ損失を被ったとしてもより後悔を感じるということです。
「やらずに後悔するより、やって後悔するほうが良い」なんて言葉を物語で聞きますが、感じる後悔としては脳科学的には全く逆なのです。
みんな聞いたこともない店の料理を食べて「微妙」と感じ、マクドナルドにしなかったことを後悔するぐらいなら、マクドナルドを選ぶのです。
よって、みんなマクドナルドを選んで長蛇の列になったのでした。
■デフォルトから脱せよ
この、デフォルトではない行動は、チャレンジとなります。
チャレンジしない状態は、極端に言えば永遠にマクドナルドを食べ続けることになるわけです。
もちろん、この例ではそのフードコート以外にも店はあるし、実際にマクドナルドばかり食べることにはならないでしょう。飽きもあるし。
まぁ、マクドナルドはおいしいですから、フードコートでの意思決定はそれで良いと思います。
が、多くの場面においてチャレンジが必要となることはあります。
仕事の幅を広げたい。成長したい。
チャレンジできない人、というのは失敗の後悔を恐れてその道を回避してしまうのです。
改善とは、今の状況を把握し、よりよくするために違うことを試していくことです。
よって、デフォルトの行動のみでは改善はなされません。
私は試すことは人生を良くすることにつながると信じています。
デフォルトから外れた行動をして、損失あれば後悔します。
ですが、そう感じるのはただの脳の癖です。
試すことによって得られた結果を認識すれば、後悔も乗り切ることはできます。
我々はマクドナルド以外を食べることが、必要なのです。
なお、そのフードコートで私は見たこともない店の焼きそばを食べました。
…いやぁ、マクドナルドはおいしいですね。
★終わり★