こんにちは。
爽一郎です。
あなたの上司、同僚、友人、コミュニケーションとりやすいですか?
話が長くて分かりにくく「何言ってんだこの人、宇宙人か?」なんて思うこともあるでしょう。
話は分かりやすいけど、めっちゃ怒ってる雰囲気。「まじ話したくない。」そんな風に思っちゃいますよね。
コミュ力が高い人、というと、きっと話してても我々はそんな感想を抱かない人たちなのでしょう。
とにかくこの世はコミュニケーション能力重視。
ビジネスに何が必要か?という質問には、多くの人がコミュニケーション能力という回答をするのではないでしょうか。
実際、企業はコミュニケーション能力を重視しています。
2018年に経団連が行った調査では、企業が新卒採用時に特に重視した項目として、コミュニケーション能力が筆頭にあがっています。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf
『(4) 選考にあたって特に重視した点
「コミュニケーション能力」が第 1 位(16 年連続)、「主体性」が第2位(10
年連続)となった。』
また、営業職で最も重要なスキルも、コミュニケーション能力という結果が出ています。
『まず、「営業職で重要だと思うスキルは何か(複数回答可)」という質問が投げかけられたところ、「コミュニケーション力」(84.8%)という回答が最も多く、次いで「業界知識」(51.4%)、「現場知識」(46.0%)、「マーケティング知識」(43.1%)、「数値管理力」(30.4%)となった。』
ですが、私は良く思うのです。
コミュニケーション能力って、具体的にはどういう能力なの?と。
■みんなが思うコミュニケーション能力って?
コミュニケーション能力は、単純に文字通り解釈すれば意思疎通する能力です。
意思疎通、というと言葉が通じればできますね。
ですが、企業が求めるものは明らかに意思疎通するだけの能力、という意味ではないのは皆さんもご察しの通りです。
では、みなが思うコミュニケーション能力がもう少し有効な意思疎通をするためのものと考えましょう。
的確に相手の意志を読み取り、的確に自分の意志を伝えること、となるでしょうか。
それは理解力と論理的な説明力、と言えなくもありません。
ただ、理解力があって論理的に説明できる人がコミュニケーション能力の高い人なのか?と言うと、なんとも腑に落ちません。
理解力が高くて論理的に説明する人。
そういう人を想像してみればイメージしやすいですが、なんかまじめで固そうな印象を受けます。
これが一般的に想像されるコミュニケーション能力かと言うと…なんともしっくりきません。
■コミュニケーション能力とは、信頼関係を築く力
コミュニケーション能力というイメージ的なものから入るとなかなか定義が難しそうです。
他の視点として、企業がなぜそんなにもコミュニケーション能力を求めているのか?ということから考えましょう。
それは、ビジネスをうまく運ぶためであり、もっと言えば人と協働して成果を出すためでしょう。
となると、コミュニケーション能力は人と協働して成果を出すためのスキルということです。
Googleの研究によれば、成果が出るチームは下記の特徴を持っていると言います。
①心理的安全性
②相互信頼
③チームの構造や役割が明確なこと
④仕事に意味を感じていること
⑤仕事がインパクトを与えると認識していること
数字が少ないものから順に重要です。
この、一番重要な心理的安全性と二番目の相互信頼。
これを得るために何が重要かと言えば、チーム内でのメンバー同士、またはリーダーとメンバーの接し方です。
Googleは具体的な行動として、下記の行動が有効と記載しています。
・積極的な姿勢を示す
・理解していることを示す
・対人関係において相手を受け入れる姿勢を示す
https://docs.google.com/document/d/1M2HvwvzFXfnNJkt-r9s4XXQtNl8YeVHfEpoICwzNIPo/export?format=pdf
私は、こういう行動を取れることがコミュニケーション能力と言えるのではないか、と考えています。
チームとしての成果を出すための条件が心理的安全性や信頼関係であるならば、それを醸造する能力を企業は欲しているはずです。
対人関係において、意思疎通を促進するための信頼感を醸造する。そんな言動を行えること、これがコミュニケーション能力なのだと、私は思っています。
■真の意味のコミュニケーション能力
この信頼感を醸造する力は「相手のことを考える」ことが必要となります。
相手の気持ちになって、相手を知ろうとしないと信頼関係なんて築けません。
相手に共感する力。それは女性のほうが得意であるという研究結果があります。
『2010年の2つの研究が、ビルの考えを裏づけている。これらの研究はチームの「集合知」について調べた。なぜ一部のチームは個々のメンバーのIQの総和よりも「賢い」のか?理由は3つある。第1に、最高のチームでは一人、二人が発言を独占せず、全員が議論に貢献する。第2に、そうしたチームのメンバーは複雑な感情を読むのがうまい。そして第3に……そうしたチームには女性が多い。このことは、女性が男性に比べて感情を判断するのがうまいことからも、ある程度説明がつく。』
スイスのビジネススクール教授のギンカ・トーゲル教授も著書の中でこう語っています。
『「心の知能(EQ)は男性より女性のほうが高い」といわれていますが、一般的な傾向として、男性より女性のほうが他人に共感する力があるようです。実際、悩んでいる人や落ち込んでいる人に手を差し伸べたり、コーチングしたりするのが苦手な男性をよく見かけます。 一方で、交換型リーダーシップを構成する資質は、男性が得意なものと、女性が得意なものに二分されています。「報酬(部下にどう報いるか)」では女性のほうが長けていますが、「誤り・逸脱(問題をどう是正するか)」では男性のほうが得意という結果になっています。』
様々な研究者たちが、この共感する力は女性脳のほうが長けていると述べています。
私は、女性のほうが得意とされる能力がチームで成果を挙げるには必要、というのは、女性も活躍する多様化社会を考えると、とても喜ばしいことだと思います。
同時に、最近になってこのような共感力が必要と叫ばれるようになったことは、過去においてはあまり重要視されていなかったとも言えるのだと私は考えています。
画一的な労働が主流だった時代には重要視されなかったものなのです。
当時、社会は男性が作り上げたいわゆる男性社会でした。結果として、男性がもつ優位性で回せる社会だったのです。
コミュニケーション能力は、共感力というものより意思疎通としてのコミュニケーションで十分でした。
ですが、今は多くの研究者がこれまで重要視されなかった「人との接し方」に焦点を当てています。
共感力を持って人と接し、信頼関係を醸造する必要がある、と。
別の視点で見れば、旧世界、男性社会で生きてきた人には共感力の必要性は理解できず、そのスキルも持っていないのです。
だから、真に企業が望むコミュニケーション能力である「信頼関係を築く力」は、ノウハウが少ないものです。
だから、誰も教えてくれない。
だから、企業が欲しているのです。
真の意味でのコミュニケーション能力は、上司は知らないし、ひょっとしたら重要視してないかもしれません。口ではコミュニケーションは大事と言っていたとしても。
人から教えを乞うことができないということは、自分で身に着けない限りは身に付かないものと言えるでしょう。
コミュニケーション能力は意志疎通する能力ではない。
人と人を強固につなぐための能力、共感力なのです。
それは誰も教えてくれず、自分で意識的に行動しなければ、得ることができないものなのかもしれません。
★終わり★