こんにちは。
爽一郎です。
難しいことをやるっていうのが好きな人がうらやましい。
私はあまり、難しいこととかチャレンジが好きではありません。
難しい仕事は辛い。
簡単にできるようになりたいもんです。
新人の同僚にこんなことを聞かれたことがあります。
「社会人経験、10年以上していても難しい仕事ってあるんですか?」
あるわいな!と即答しましたね。
変化の多い社会なので、仕事は流動的。
難しい仕事も複雑な判断も多くあります。
難しいことも簡単にできるようになる、そのために頭を使っているように思います。
そんな、難しいことを簡単にする、ということを考えながら家で家事をしていたのです。
その時、ふと思いました。
「初めは妻に不満を言われまくっていた家事も、今はほとんど文句言われないクオリティでできるようになったなぁ」
私が担当である家事がいくつかあります。
食事の片付けとか、幼稚園の用意とか、トイレ掃除とか。
数年前まで、私にとって家事は難しいものでした。
毎回、妻に
「幼稚園の用意に、タオル入ってなかったよ」
「食器はここに片付けて」
とかご指導を受けていました。
家事自体を忘れてしまうこともあって、家事ってむずいわ、と思っておりました。
が、今では食事後に流れるように片付けはできるようになりましたし、幼稚園の用意もおおむね完璧。
人間、続けるとできるようになるもんだなぁ、と思ったのです。
しかし、それなりの時間はかかりました。
私にとって家事は、
「難しく、辛い仕事だったけれど、できるようになったもの」
の一つなのです。
(妻がもう不満を言ってもしょうがないから言わなくなっただけ、という可能性もなくはないですが)
仕事でも家事でも、何かができるようになるために必要なものってなんだろうなぁ、と考えてしまいます。
知識を得ること?
がむしゃらにがんばること?
人と話すコミュニケーション力?
人によって回答は違う質問でしょう。
私は、一つ挙げるとするなら、
「振り返ること」
と言いたい。
■みんな、一挙に成長したい
ぶら下がり社員という言葉、いろんな本やネット記事で見るようになってきました。
会社勤めで、がんばって働きはしないけど、会社は辞めない。
そんな人々のことです。
それなりの年齢でキャリアの先が見えている人なんかがそうなりやすいようで、クビになりにくい日本の大企業に多いとのこと。
そんな人が増えているからぶら下がり社員と言う言葉も生まれたのかもしれません。
ただ、そうでない人のほうが、私の周りには多いというのが実情。
なんだかんだ言って、仕事ができるようになって部署に、会社に、社会に貢献したいという人が大半です。
人間、自分のやってることが誰かに認められることが”本質的喜び”なんだろうと思います。
私も、そういう考えの一人です。
貢献できるようになるには、必要なスキルを上げなければなりません。
いわゆる成長というやつですね。
その成長に必要なものは「振り返ること」だと思っています。
成長には、知識を得ることが重要じゃないのか?そんな声も聞こえてきそうですね。確かにその通りです。
知識を得て、実践することは重要です。
ただ、それだけではよっぽど運が良くないと成長が難しいのです。
英語が話せない…。一挙に話せるようになりたい!
プレゼンテーションが苦手…。すぐにうまくなりたい!
問題はすぐに解決したい。
だから、一週間で話せるようになる!なんて英会話の本が売れたり、
これさえやれば大丈夫!みたいなテクニックが重宝されます。
しかし、よっぽど自分に合った情報を手に入れない限りは、その情報通りにすぐにスキルが身に付くことはありません。
本は汎用的な情報なので、万人に合うわけではありませんし。
プレゼンテーションの本を読んだ。
しかし、うまく伝えることはできなかった。
そこで、「一挙に成長を得ることができなかった」がゆえに諦めてしまう人が多いのです。
がんばったけど、ダメだった…と言う気持ち。
実際は、やり方が自分に合ってないだけなので、いろいろやり方を変えて継続する必要があります。
そのために必要なものが「振り返ること」なのです。
得た知識を実践して、結果を振り返りながらやり方を変えていく。
そうやって、難しいことをこなすスキルは、ちょっとずつ上がっていくものです。
私は家事を忘れないようにするため、何かの後に差し込むことで対策をしました。
食事が終わったら、そのまま食事の片づけをする。
食事の片付けの特定の動作の後に幼稚園の用意をするし、次の日のお茶も沸かす。
そうやって、振り返りながら行動を変えていったのです。
■振り返るって、具体的にどうすんの
難しいものをモノにするには1万時間かかる。
そう、マルコム・グラッドウェル氏が研究を元に提唱しました。
何かで卓越するには、1万時間の経験がいるよ、というものです。
期間にすれば、5年間ほど頑張れば、その分野はものにできるということ。
逆に言えば、難しいことを簡単にできるようになるためには、5年ほど苦行が必要とも言えます。
家事はそこまでクオリティを求められないのでなんだかんだ言って難易度は低いものかもしれません。
ただ、知識労働は難しい。複雑。明確な解もない。
すぐにスキルが身につかないものです。
すぐに成長したい!そんな思いが勝って、ちょっと頑張ってみたけどあきらめる、という状況になる人を、私は何度か見ました。
そんなときに特に必要なのが振り返りです。
私は部下や同僚と1on1ミーティングを良く行いますが、その中で振り返りを必ず行います。
この1週間で何をやったか?
その結果はどうだったか?
良いと思う点と悪いと思う点は?
そうすることで、できるようになったことや、修正すべき点を明確にするのです。
とはいうものの、全ての人の周りに振り返りを促してくれる人がいるわけではありません。
じゃあ、どうやって振り返ればよいのか?
一つの方法が、ある本に書かれています。
『変化に強いサラリーマンが密かに使う、ワンランク上の自問術』
この本は、私のコーチングの師である松本瑞夫氏が上梓された本です。
コーチングでは質問による振り返りを良く行います。
私が1on1ミーティングで行っているのも、質問による振り返りです。
この本には、コーチングを元にした振り返るための質問が、自問術として書かれています。
『一見失敗のように見えるものは、実は一過性のものであり、現時点で自分が思う理想からどのくらいズレが生じているのかを教えてくれる単なる一つの材料にすぎません。そういう意味では「失敗というものは存在せず、そこにはフィードバックがあるだけ」ということがいえると思います。
「あなたは、過去にどのような失敗をしましたか?」
「あなたにとって、それは本当に失敗ですか?」
また、私が学んでいる実践心理学NLPでは、次のような問いが存在します。
「そこから何を学んだのか?」
「この経験から何を得ることができたのか?」
「この出来事にはどんな意味があるのだろうか?」
「この出来事のポジティブな目的(意味)は何だろうか?」』
振り返るための自問ってどうすればいいの?
そんな疑問を解消する本として、最適です。
質問というのは、多くは他者に対して行うものです。
よって、自問は意識しないとできません。
定期的にだったり、辛い時にだったり。
そんな折に、自分へ質問する。
「何がつらいの?」
「今週どうだった?」
自問することが、振り返りとなります。
成長する人は、自分へ質問し、自分の変化や状況を客観的に把握しているのです。
組織心理学者のターシャ・ユーリック氏は様々な分野で成果をだす人々を研究し、彼らにある共通する特徴を見つけました。
著書『insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』でそれが書かれています。
共通する特徴とは、自己認識が高い、ということです。
自己認識とは、本書によれば『自分が考える自分』と『他人が見る自分』を知っており、かつその差が少ないということです。
客観的な自分を知ることが、成果を出す=何かができるようになること の一要素なのです。
そのための最も簡単な方法は、自問。
自分へ、質問を投げかけることなのです。
★終わり★