凡人が成果を出すための習慣

残業ゼロで成果を出すには、どうしましょうか?

人材育成はとっても大変。人材育成にもっとも重要なことは…

こんにちは。

爽一郎です。

 

以前、こんなツイートがバズりました。

 

 

「いいね! 」がめっちゃついて共感が得られるといことは、こんな夫が世の中に多くいるということでしょう。

 

きっとこの夫は仕事ができる人なかもしれません。

仕事で自分はいろいろと効率化してきたから、家事でもそうできるっしょ?と考えたのかも。

 

家事と仕事は共通点はあれど、違うものです。

夫の言葉を受け取った妻は「何も知らずにほざいてくんな」と思ってしまうことでしょう。

 

私も「これは言っちゃいけないよなー」と思います。

 

 

家事と仕事は違う、と言いましたが、もっと言えば同じ家事でも状況が変われば別物になります。

例えば、共働きとシングルマザーの家事に対しての効率化は、きっと異なります。

 

私の家庭は共働きです。

子供が二人おります。

 

食洗器やら乾燥機付き洗濯機、ロボット掃除機などで家事を減らしているとは言え、それでも家事はたくさんあります。

子供の世話だってあります。

そんな家事や育児は分担と言っても、大半は時短勤務の妻がこなしてくれています。

夕食の片付けとか、風呂やらトイレ掃除やら幼稚園の用意やらを私はやっておりますが、家事育児の全体量からすれば2割程度でしょう。

それでも、妻からは「助かる」と言ってもらえます。

 

そんな中でちょくちょく妻と話題になるのが、シングルマザーの大変さです。

 

我々は二人で家事や子育てを分担し、それでも時間が足りないと思えるようなこともある。

 

シングルマザーで仕事もして、子育てもするような人は、一体どうやって生活しているのか?

これは、私にも妻にも想像できないがゆえに話題になります。

 

体力と精神力で乗り切っている人もいるでしょう。

とんでもない家事の効率化を図って生活をしている人もいるでしょう。

 

我々の家庭でも家事の効率化を幾分図っているものの、シングルマザーの家庭ではそれは通用しないのだろうと思います。

正直、想像が難しい。

 

 

■人のことなんて、本気で理解しようとしないと分からない

さて、本題に入ります。

 

家事の話を通じて何が言いたいかと言えば、

自分の知識を人に押し付けてはならない

ということです。

 

冒頭のツイートの話で言えば、

「仕事が一般的には効率化できるんだから、家事も効率化できるっしょ」

という発想が見え隠れします。

 

 

先ほど伝えたように、企業での仕事と家事は違います。

企業なら企業のリソースで人を増やしたりできるかもしれませんが、家庭でその方法は難しいでしょう。

もちろんお手伝いさんを雇うとか、外部委託するようなビジネス的発想はありますが、その方法を取れるような予算がすべての家庭にあるわけではありません。

企業と家庭のリソースは大きく異なります。よって、とれる方法は異なるのです。

 

しかし、企業生活で得た効率化の例を思い出して、夫は家事も効率化できるっしょ?と言ってしまうわけです。

これは自分が効率化してきた経験や知識を他のものに当てはめようとした結果に起きる発言です。

ようするに、自分の知識を他の事象に押し付けて考えているわけです。

 

 

なぜ無理に自分の知識を他のものに当てはめようとしてしまうのか?

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏の研究で、それは明らかになっています。

 

それは

『利用可能性ヒューリスティック』

と呼ばれるものです。

 

これは、人はすぐに取り出しやすい記憶を優先的に使って判断してしまうという脳の癖です。

利用可能性ヒューリスティックによって、いろいろと下記のような事実に則さない判断をしてしまうのです。

 

 

・注意を引きつけるような目立つ事象は、記憶から呼び出しやすい。たとえば、ハリウッドのセレブの離婚や政治家の浮気スキャンダルなどはこれに当たる。そこであなたは、映画スターの離婚や政治家の浮気の頻度を多めに見積もりやすくなる。

 ・世間の耳目を集めるような事象は、一時的にそのカテゴリーの利用可能性を増大させる。たとえば飛行機事故は大々的に報道されるので、あなたはしばらくの間飛行機の安全性を過小評価しがちになる。また路上で炎上している自動車を見た直後などは、その事故を鮮明に覚えているので、危険全般に用心深くなる。

 ・個人的に直接経験したこと、写真、生々しい実例などは、他人に起きた出来事、報道、統計などよりも記憶に残りやすく、利用可能性が高まる。たとえばあなた自身の訴訟で不当な判決があったら、そうした事件を新聞で読んだ場合よりも、司法制度に対する信頼は大きく揺らぐだろう。

 

 

  

知らないものに、勝手に自分の使えるものを当てはめる。

そういう状況を利用可能性ヒューリスティックは引き起こします。

 

仕事の効率化ができる夫が、良く知らない家事の効率化を語るのだとすれば、まさにこのヒューリスティックが働いています。

 

 

我々の日々の中で、このヒューリスティックによって自分の知識を押し付けてしまう現象は往々にして起きています。

 

「ちゃんと教えたのに、なんであいつはできないんだ」

 

こんな発言を聞いたことはないでしょうか。

教えたのにできない理由は、状況によって様々です。

やる気がないのかもしれない、教え方がまずかったのかもしれない。

 

ただ、一つ言えることがあります。

自分のやり方を教えたらできるようになる、というのは間違いです。

 

上司のやり方は、部下の状況に則しているのか?

それを見極めずに、一方的にやり方を教る。

結果的に、教えられた側ができなくても不思議ではありません。

だって、やり方があってないのですから。 

 

人材育成では、一方的に教えても何かをできるようになることは稀です。

 

 

■他者の理解は、聞くことから

一方的に知識を伝えるだけでは何も起きないのです。

その人が実践できるようにして初めて効果が出るのです。

 

 

例えば、ダイエットしたい人に、ダイエット本さえ渡せば痩せられるでしょうか?

きっと、多くの人はできません。

ダイエット本で知識を得ても、実践できるようにしなければ効果は上がりません。

 

ライザップが結果にコミットしているのは、ダイエットの知識を与えるだけではなく、実践できるようにしているからです。

 

本は多くの人の手元にわたることが前提書かれ、汎用的なことが載っています。

使える知識もあれば、そのままでは状況にそぐわず使えない知識もあります。

自分なりに使えるようにすることは、簡単ではないのです。

 

 

コンサルティングという仕事は、クライアントに何かをできるようにする仕事と言えます。

その業務に従事するコンサルタントは、知識を伝えるだけが商売ではありません。

知識を伝えるだけでは結果が出ないからです。

 

コンサルタントが成果を出すには、聞く力が重要と言われています。

 

環境によって効率化手法は異ります。

成果を出すための手法は異なります。

 

利用可能性ヒューリスティックをなるべく排して、クライアントに則した知識と実践を伝えるためには、まずは「聞くこと」で相手を理解することが必要なのです。

 

 

人材育成の場でも、まず部下やメンバーを理解する、という企業が増えてきています。

Yahooもアマゾンも、部下との1~2週間に一度の1on1ミーティングを導入して、一方的な知識の伝達ではなく、部下の状況に則した育成を進めているようです。

 

 

 

 

1on1の面談がすべての企業に適しているとは言いません。

適しているといえば、それはまた私が利用可能性ヒューリスティックに囚われていることになります。

 

ただ、相手の状況を聞き、理解し、実践できる方法を伝える(または考えるように促す)ことによってしか、人は何かをできるようになりません。

放っておいても成長するような人は別として。

 

安易に自分の知識を伝えて、それで育ってくれるだろ、というのは傲慢な考えなのです。

 

やる意志のある人から、

話をとにかく聞いて、

必要な知識を得させて、

実践できるようにして初めて成長する。

 

特に管理職は、部下を育てなければ忙殺されて、いつか死にます。

いや、比喩でなく本当に死んじゃいますよ。

 

diamond.jp

 

 

半年以内での悩みの1位は「部下に任せきれない」で54.7%に上っています。新たに管理職になって短期間で成果を出さなければならないプレッシャーがあるなかで、メンバーが育つのを待っていると時間が足りない、それなら自分でやる方が早いとつい考えてしまうようです。

 

自分で何もかもやってたら、過労になりますから…。 

 

人材育成とは、ちょっと伝えたら伸びるなんてことはなく、とてもエネルギーをかけなければならないことなのです。

 

★終わり★