こんにちは。
爽一郎です。
論理的な人って、賢そうに見えますね。
ビジネスにおいて、ロジカルシンキング、いわゆる論理的思考は大事なものです。
論理的でさえあれば良い!というわけではありませんが、ビジネスにおいての最適解、合理的な判断を下すには必要なものだからです。
建設的な議論には欠かせないものですね。
実際、論理的思考はコンセプチュアルスキル(概念化スキル)と呼ばれ、上位のポジションになるにつれて必要と言われています。
上位のポジションほど、難しい意思決定が必要になるためです。
その辺は”カッツモデル”で調べると、いろいろと出てきます。
そんな、論理的思考。
それに長けた人とは、どんな人なのでしょうか?
私も論理的だなと思う人々とこれまで仕事をしてきました。
そんな人々に共通する特徴があります。
それは、質問が多いこと。
彼らは、めっちゃ質問を多く投げかけるのです。
■論理的とは事実を元に出発すること
そもそも、論理的であるとはどういうことでしょうか?
辞書的には『筋道を立てて考えるさま』とあります。
いわゆるロジカルシンキングの厳密な定義となれば、様々あるでしょう。
が、何を見ても共通している定義としては、『事実を元に根拠立てて考えていく』ということです。
辞書にある『筋道を当てて』というのも、道の出発点があります。
それは、客観的な事実です。
簡単な例を出しましょう。
A君を喜ばせるために、何かプレゼントしたいとします。
・論理的ではない例
A君はケーキが好きだと思う。
だから、ケーキをA君にプレゼントする。
これは、A君が本当にケーキが好きかが分からない状態で、プレゼントを決定しています。
事実を元にしていない意思決定となり、本当にA君が喜ぶかは不明です。
②論理的な例
A君はケーキが好きだと、本人が言っていた。
だから、ケーキをA君にプレゼントする。
これは、A君がケーキが好き、ということは、本人から聞いた事実となります。
よって、A君はケーキをもらえば喜ぶこと間違いなしでしょう。
事実を元にした意思決定となります。
事実確認が困難な場合は、想定した物事をベースに考えていくことはあります。
が、基本は想像を元にした論理展開ではなく、事実からスタートします。
論理的である、とは事実を確認することから始まるのです。
その、事実を知ろうとする行為。
それが、『質問』なのです。
論理的な人が質問をやけにするのは、事実を知ろうとしているからです。
■質問すりゃいいってもんじゃない
しかしながら、質問ばっかりする人が論理的、と言いたいわけではありません。
質問が正義なら、一休さんに出てくる『どちて坊や』が最強になってしまいます。
どちて坊やは、『どちて?(どうして?)』と一休さんに永遠に質問し続け、一休さんを困らせた子供です。(アニメの一休さんの話です)
「どちて落書きをするたダメなんでちゅか?」
「将軍様に迷惑がかかるからさ」
「どちて落書きをすると将軍様に迷惑がかかるんでちゅか?」
「立派な屏風が汚れてしまうだろう?」
「どちて屏風が汚れると迷惑がかかるんでちゅか?」
…まぁ、どちて坊やが論理的には見えないでしょう。
むやみに質問する人が論理的なわけではないのです。
下記のような仕事場での一場面を想像してみてください。
システム導入で、テストをリーダーがメンバーに依頼して、メンバーに結果がどうだったかを確認する場面です。
<例A>
『テスト結果はどうだった?』
『問題ありませんでした。』
『どう問題なかったの?』
『概ね、テストが想定通りでした。』
『概ねかぁ。
それでも、大丈夫なんだね?』
『はい。』
『なら、OK。』
<例B>
『テスト結果はどうだった?』
『問題ありませんでした。』
『問題無いっていうのは、全項目で期待通りの結果が得られたということ?』
『あ、一部で期待通りではない項目がありましたが、概ね問題ありません。』
『期待通りではなかったのは、どんな項目で、どんな結果だった?』
『外部からのアクセスのテストで、接続できないアカウントがありました。
ですが、本番仕様にそってないアカウントなので、できなくて当然でした。
本番仕様にそったアカウントなら問題なかったので、大丈夫です。』
『その、本番仕様にそってなかったアカウントではできなかった原因は分かっている?』
『はい。
それは、アクセス可能な権限グループに入ってなかったことです。
アクセス可能な権限グループにいれたアカウントは大丈夫でした。』
『アクセス可能な権限グループにいれた、アカウントならば、全て期待する結果がテストで得られたということね?』
『はい。』
『なら、OK。』
どちらが論理的っぽいでしょうか?
例Bがそれっぽいと思ってもらえれば、私の例は例として機能していることになります。
■2種類の質問
質問には、2種類あります。
一つは、意見を聞く質問。
もう一つは、事実を聞く質問です。
(どちて坊やの質問や、『我々は正しい判断をしないとね?』のような無意味な質問が3つ目としてありますが、それは置いておきます。)
意見を聞く質問は、相談する時や、ブレインストーミングなどの際に出る質問です。
相手に考えさせる質問、とも言えるでしょう。
コーチングでは質問を多用しますが、これは相手に考えてもらうことが目的です。そうして、結果的に相手から意見を引き出す質問となります。
もう一つの、事実を聞く質問は、そのままの内容です。
物事の、なるだけ客観的な事実を確認する質問です。
論理的な人は、このうち、事実を聞く質問が圧倒的に多いのです。
もちろん、育成の場面では意見を聞く質問が有効です。
意見を聞く質問をする人が論理的じゃない、と私は言っているわけではありませんん。
ただ、ビジネスの意思決定を行う場面においては、事実確認の質問が圧倒的に多くなります。
先ほど出した会話例の<例A>で、リーダーは、メンバーに対して質問はしています。
が、事実を確認しているかと言えば、そうではありません。
メンバーの考えを聞いています。つまり、意見を聞いているのです。
もちろん、メンバーを信頼していれば、こんなやり取りになることもあるでしょう。
が、今回はそこまで信頼できないメンバーへの例としましょう。
論理的な人は、事実を確認します。
<例B>のリーダーは頭の中で、事実を確認したうえで論理立てて考えています。
問題ない、と意思決定するには、テストが全て期待通りである必要がある。
例外があっても、対応が事実として問題のない内容だから大丈夫である。
…というように。
シリコンバレーで起業し、現在は企業へのコーチングをしている大橋禅太郎氏という方がいます。
彼は、著書の『すごい会議』において、会議は三つのことにフォーカスすると成果がアップすると述べています。
①明確化のための質問
②リクエスト
③提案
この、『①明確化のための質問』はまさに事実確認するための質問です。
会議を論理的に進めるには、事実確認が必要と私は捉えています。
会議も議論も、事実を元に始めないと建設的にはなり得ません。
論理的な人は、事実を確認し、それを土台に、頭の中で筋道を立てる。
それが端的に表れるのは、会議や会話での『事実を確認する質問』の多さなのです。
★終わり★