こんにちは。
爽一郎です。
習慣定着に関するコーチングで人を幸せに導きたいというのが、私の思いです。
クライアントが習慣を身に着け、コーチングが不要になって独り立ちすることはとても喜ばしいことです。
ですが、寂しくもあります。
やはり、人から頼られるのは嬉しいこと。
独り立ちするということは、もう頼られなくなるということですから。
子育てをしていても、子供から頼られているという喜びがあります。
いつか独り立ちされることは、やはり想像すると寂しく思います。
誰かに頼られるということは、一つのモチベーションになります。
が、チームで成果を出すには、頼られるという快感から抜け出す必要があります。
■マネジメントの半分はメンバーのスキルアップ
自分が頼られ続けることはチームマネジメントとしては怠慢です。
マネジメントの仕事の半分は、メンバーのスキルアップである。
元インテルのCEOで卓越したマネジメントで同社を成功に導いたアンディ・グローブ氏は、そう言いました。
『「人が仕事をしていないとき、その理由は2つしかない。単にそれができないのか、やろうとしないかのいずれかである。つまり、能力がないか、意欲がないかのいずれかである」。この洞察はマネジャーの努力の方向を180度変える力がある。つまりマネジャーのやるべきことは部下の教育とモチベーションの向上だ。
〜中略〜
マネジャーが部下の生産性を向上できる方法は、2つしかないと述べる。それはモチベーションと訓練だ。マネジャーが訓練を軽視するなら、自分の仕事の半分を怠けていることになるのだ。』
マネジメントの半分は、メンバーが成果を出せるようにスキルアップさせることなのです。
そうして、マネージャーに頼られなくても成果を出せる人材にすることです。
■後任を育てることで出世した人の話
以前、アメリカ出張した際に聞いた話です。
アメリカ法人のトップがどのようにトップまで出世したかという話を、関係者から聞きました。
もちろん、一言では言い表せられない努力や経緯があったことでしょう。
ですが、最も意識したことは、単純に言えば後任を育てることだったというのです。
アメリカでは、セクショナリズム思考が強く、その考えは自分の業務範囲を部下が脅かすので一般的ではないらしいのです。
が、アメリカ法人のトップはその考えを貫いたとのこと。なおそのトップは日本人ではなくアメリカ人なので、非常に珍しい考え方だったと言います。
後任をしっかり育てることで自分ができることが広がり、出世を重ねてトップになったということでした。
あの有名な食品会社『ダノン』の組織開発部長がこう言っていたとか。
『マネジャーたちはチームに仲間内で話し合ってもらいたくないと思っています。もしメンバーが解決策を見つけたら、マネジャーはそれ以上そこにいる意味がなくなってしまうかもしれません』
これはアメリカの企業の話ですが、後任を育てたくない人々は日本でもちらほら見かけます。
「俺もそろそろお払い箱かな?」なんてニヤリと笑いながら言う人を見かけますが、本音は「まだあなたの力が必要ですよ」と声をかけられたいのがよく分かります。
コーチングをしていても「人から頼られるような自分のポジションを確立したい」という状態は、皆が目指したい姿のように思えます。
人に頼られたい。
悪いことでもなんでもなく、これは人間の欲求なのです。
■組織で自分が成果を出すには、人に目を向ける必要がある
知識やスキルを身に着け、人に頼られるような存在になることは、目指すべき姿だと私も思います。
それが社会的な市場価値というものです。
一方で、チームで活動しているのであれば、自分と同じようなことをできる人間を育てる、ということも同時に重要なことなのです。
先ほど話したアメリカ法人のトップは、もっと成果の高い、もっと付加価値の高い仕事をするため、自分の後任を育てたのです。
自分の立場を確立し、同じことをし続けることは、楽です。
ずっとコンフォートゾーンですから。
とは言え、今の100年ライフにおいて、そんな生き方ができる人は、もうほとんどいないのだと思います。
時代の変化は速いです。社会の需要はすぐ変わります。一つのスキルの社会的な市場価値がずっと同じとは限りません。
人をスキルアップさせながら、自分も成長してゆく事。
それが、今の時代に即した生き方なのだろうと思うのです。
★終わり★