こんにちは。
爽一郎です。
外出自粛状態の日常が続きますね。
その中において、家にあってよかったと心から思うモノがあります。
Nintendo Switchのゲームである『リングフィットアドベンチャー』です。
運動することで遊ぶ、というこの一風変わったゲーム。
モーションセンサーが備わった2つのコントローラーのうち、1つを足につけ、1つは手に持ちます。
モーションセンサーにより、実際に体を動かすとゲーム内のキャラクターも動き、障害物をよけながら道を進んだり、スクワットなどの運動で敵を倒すというモノです。
めっちゃ運動をすることになります。
汗だくになるほどに。
運動強度が選べるので、子供でもできます。
よって、運動不足になりがちな今の状況で、家族で体を動かす機会を与えてくれています。
そんな理由で、買っておいてよかったなぁ、と。
ただ、元々人気で品薄のゲームであり、転売ヤーが猛威を振るっております。
が、そんな状況も任天堂の努力で多少は抽選販売などで手に入りやすくなってきたようなので、このゲームのすごさを記事にしようかと思いました。
運動したい人には、激しくおススメのゲームです。
なんといっても、人間の行動分析学的に理にかなったものだなぁと、プレイしてて実感します。
簡単に言うと、運動というやる気の出ないものを、やる気の出るものにしてくれるのです。
■人は長期的な報酬では動けず、短期的な報酬で動く
以前、依存症についての記事を書きました。
『人が依存するメカニズムを解き明かして応用すれば、習慣化させたい行動を定着させることに利用できるのです。
※なお、習慣定着で依存症にまでさせるようなことは現実的にはできませんし、できたとしてもしません。
そうして得た知識の一つ。
人を依存にさせる最も大きな要因は、確実かつ即時に得られる報酬であるということ。
例えば、タバコ。
煙草を吸うとニコチンによってイライラが収まります。
タバコを吸うことで、確実に、すぐにイライラが収まるという報酬を得ることができる。
よって、人はタバコをやめられなくなります。
「タバコをやめることで将来的に得られる健康」という、不確実かつ長期的に得られる報酬の力は、「イライラが収まる」という確実かつ即時に得られる報酬に比べると、非常に弱いのです。』
これは行動分析学や脳科学という分野で研究されている内容です。
研究によれば、人を行動に移させる最も強い要因は、短期的で確実な報酬です。
ダイエットだ!運動して痩せるぞ!
この目的となっているのは、ほぼ長期的かつ不確実な報酬です。
運動を続けて痩せるには、数か月かかります。なんとも長期的ですね。
痩せた結果に得られる報酬は、健康だったり今よりも良いスタイルだったりします。
が、健康的な体、という報酬は明確なメリットがイメージしづらい。
だって、将来的になる病気に健康的であればかからないのでしょうが、病気になることは確実ではありません。
それを防ぐための健康、というのは不確実な報酬に感じ取れてしまいます。
スタイルが良くなる、というのも、将来の自分をありあり想像することが難しいので、得られる報酬としては弱いのです。
それよりも、「お菓子を食べる」という確実に、即座に味覚への刺激という報酬が得られる行動を選んでしまいます。
そうして、ダイエットは続かないのです。
結局、みんなが続けたくてもできない運動や勉強と言ったものは、長期的で報酬が不確実な報酬を得るための行動なのです。だから、続けることが難しい。
逆に、運動や勉強にも短期的で確実な報酬が与えられたら…?
人は行動を続けることができます。
行動分析学を分かりやすく説明した本から、引用しましょう。
『望ましい結果が得られることを学習したとき、人は同じ行動を繰り返そうとするのだ。』
『行動分析には「六十秒間ルール」という原則がある。部下が望ましい行動をとった場合、それに報いるのは原則として六十秒以内でなければならない。
六十秒を過ぎてしまうと、どんなに報いようとも効果が薄く、部下は行動を継続しない。この点、動物も全く同じだ。「これをすればこれが手に入る」という法則性が明確に分かったとき、人も動物もその行動を繰り返すようになる。行動分析はもともと動物行動学から生まれたものであり、こうした行動原理も実験によって明らかにされてきた。』
理想は、60秒以内に確実な正のフィードバックが得られること。
それがあれば、人間は行動を繰り返すことができます。
それが運動だろうが勉強だろうが。
前置きが長くなりましたが、それをリングフィットアドベンチャーをとてもうまく利用しています。
■短期的なフィードバックを作り出せ
先ほど述べたように、運動というものは通常、長期的で不確実なフィードバックしか得られないものです。
もちろん、汗をかいて気持ちい、とか運動の後のサウナを楽しみにする、とか、個人的に短期的なフィードバックを工夫することはできます。
そんな短期的なフィードバックをリングフィットアドベンチャーは、自動的に与えてくれるのです。
リングフィットアドベンチャーでは、スクワットや腹筋などの運動によって、マッスルパワーでゲーム内の敵を攻撃します。
それこそ、スクワット一回一回につき、小気味よい打撃音と共に敵を攻撃してくれるのです。
敵へのダメージとして数値が表示されます。
さらに、ゲーム内の相棒となるキャラクターが、運動するごとに
「ナイスマッスル!」
「汗が輝いてるね!」
「サイッコウ!」
「その調子その調子!」
など、多彩な掛け声で応援してくれるのです。
要するに、スクワット、腹筋など、小さな運動一つひとつにフィードバックを与えてくれるのです。
こんな、個々の小さなエクササイズに対して、60秒以内どころか即時の短期的なフィードバックがある。
これは、運動を続けてしまう。
さらに、他にも工夫があります。
キャラクターにはレベルがあり、レベルが上がると新しいエクササイズを覚えていきます。
敵を攻撃するための、より強いエクササイズを覚えることで、「よし、この運動もやりたい!」なんて気持ちにさせてくれます。
レベルは簡単に上がるので、「運動に対してのご褒美」としてどんどんレベルが上がっていくのです。
結果、このゲームによって私の子供も私も、一日に10分~20分ほどの運動を毎日しています。
ゲームのボリューム自体がとても大きいので、一日10分ほどのプレイで1年ほどは楽しめそうです。
1年続ければ、運動も習慣になることでしょう。
私は任天堂の回し者でも転売ヤーでもないですが、リングフィットアドベンチャーは運動を習慣化する上ではおススメです。
それ以上に、短期的なフィードバックを用意する、ということは続けにくいことを続けるうえで、非常に有用であるということを実感しました。
勉強なら、1問解くとか1ページ解くごとに、紙に書いたポイント表を塗りつぶしていって、特定のポイントで自分に褒美を与える。
読書でも同じことができそうですね。
そんな短期的な報酬を考えて、この外出自粛のお家生活で何か習慣を作ってみてはいかがでしょうか。
★終わり★