凡人が成果を出すための習慣

残業ゼロで成果を出すには、どうしましょうか?

やっちゃダメなことは禁止したらもっとしたくなる。重要なのは代わりにどう欲求を満たすか

こんにちは。

爽一郎です。

 

私はビデオゲーム大好き。

子供の頃からファミコンやらプレステやら、PCのゲームやらが好きでよくやってました。

子供ができてからは、リビングでバイオハザードしようものなら子供が阿鼻叫喚必須なので、あまりやらなくなってしまいましたが。

子供の前でゾンビの首を飛ばそうものなら、妻に私の首も飛ばされることでしょう。

が、今でもゲームが好きです。

 

で、そんなビデオゲームについて物議が。

香川県で出されたゲーム依存対策条例。

 

www.itmedia.co.jp

 

香川県議会が議論を進めている子どものゲームやネット依存症対策を目的とした条例案に、「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などの具体的な制限が追加され、Twitter上では「極端ではないか」「一律に規制する意味が分からない」など物議を醸している。

 

個人的には、この禁止措置は、子供から物理的にはゲームを遠ざけたとしても、ゲーム依存への根本解決には至らないだろうと思っています。

 

■依存と習慣は紙一重

私は習慣定着コーチングなるものをしています。

そのために、どうすれば人に特定の行動を定着させるか、ということを勉強しています。

依存とは、特定の行動を繰り返し行うという点で、習慣に似ています。

よって、習慣のことを学ぶと依存についても学ぶことになるのです。

人が依存するメカニズムを解き明かして応用すれば、習慣化させたい行動を定着させることに利用できるのです。

※なお、習慣定着で依存症にまでさせるようなことは現実的にはできませんし、できたとしてもしません。

 

そうして得た知識の一つ。
人を依存にさせる最も大きな要因は、確実かつ即時に得られる報酬であるということ。

 

例えば、タバコ。

煙草を吸うとニコチンによってイライラが収まります。

タバコを吸うことで、確実に、すぐにイライラが収まるという報酬を得ることができる。

よって、人はタバコをやめられなくなります。

「タバコをやめることで将来的に得られる健康」という、不確実かつ長期的に得られる報酬の力は、「イライラが収まる」という確実かつ即時に得られる報酬に比べると、非常に弱いのです。

 

依存というほどでないものだとしても、この確実かつ即時の報酬は協力です。

例えば朝起きられない人。

朝起きるべき時間に起きて、定時に会社に行けば上司からの信用が上がるかもしれない。

健康的な生活を得られるかもしれない。

でも、そんな不確実で長期的に得られる報酬より、寝て気持ち良いという確実かつ即時の報酬を人は選びます。

 

そんな確実かつ即時な報酬で、まんまと罠にかけられたことが、私にはあります。

 

www.youtube.com

 

去年流れてたこのCM。

本田翼のダンスがキレッキレでかわゆすぎる。

萌える。

男に媚びすぎなんて意見もあったようですが、私も思わず見ちゃうCMでした。

友人に「ラインモバイルの本田翼がかわいすぎて、どうしたいいか分からない」と友人にLineを送っていたほどです。

 

私にとって本当に安くなるかどうかわからないケータイ料金の話なんて、急にされても意識には引っかかりません。そんな不確実で先の報酬なんて、いくら話されても頭に入らないでしょう。

そこで、ラインモバイルは代わりに私に即時の報酬を与えます。

本田翼のキレッキレダンスです。

単純に、見ると萌える。即時で確実な報酬が得られます。

間髪入れずに情報発信です。

 

本田翼「月々300円から〜」

 

私「え?そんなに安いの?ほんとにぃ?」

 

本田翼「ほんとにに、ほんとだよ〜」

 

私「え〜信じられないなぁ」

 

本田翼「検索〜」

 

私「よし、検索しよう」

 

まんまと本田翼の手の上を転がされました。

最終的に契約はしませんでしたが、人を動かすCMだったと思います。

 

ビジネスではよくよく人を動かすために即時で確実な報酬をうまく使うのです。

 

ゲームでもこの報酬を非常にうまく使っています。

操作すれば即時で画面からフィードバックが得られる。

エスト、ステージをクリアすればアイテムや経験値という報酬が得られる。

特に、スマホゲームやオンラインゲームでは、終わりなく無限にこのサイクルが繰り返されます。

悪い言い方をすれば、依存する人が増えれば利益が上がるビジネスなのですから。

 

ゲームは依存症を生むというのは、おそらく間違いではありません。

 

行動経済学者、心理学者であるアダム・オルター氏はこう述べています。

 

一方、薬物常習者がヘロインを注入するときの脳のパターンと、ゲーム依存症患者がワールド・オブ・ウォークラフトで新しいクエストに繰り出すときの脳の反応は、実はほぼ同一だということがわかっている。ヘロインのほうがダイレクトに作用し、ゲームよりも強い反応を引き出すのだが、脳内でニューロンが発火するパターンは限りなく同じだ。強迫的反復行動を研究する神経科学者クレア・ギランは、「薬物と、依存的行動は、脳内の同じ報酬中枢を刺激します」と説明している。 「行動に満足感がある、つまり、その行動が過去に報酬と結びついた場合、脳はそれを薬物と同じように扱います」

 

 

薬物依存と同等まではいかないものの、ゲーム依存もはまると抜け出せない、というものではあるのです。

 

■禁止は欲求を増大させる

ただ、香川県が行ったようなゲーム禁止は効力を発揮しません。

むしろ逆効果です。

 

禁止されると余計にやりたくなる、というのは感覚的に皆さんご存知でしょう。

 

別の心理学教授、ロバート・チャルディーニ氏はこう言います。

 

何かを手にできるチャンスが減ると、自由も失われます。そしてわたしたちは、すでに得ていた自由を失うのが嫌なのです。こうした既得特権を守ろうという思いが中核を成しているのが、〝心理的リアクタンス〟という理論です。心理学者ジャック・ブレームが提唱したもので、個々人によってコントロールできることが減っていくとき、人はどう反応するかを説明しています。この理論によると、自由な選択が制限されたり脅かされると必ず、何としてもそれを守らなければとの思いから、自由(とそれにともなう物やサービスも)を手に入れたいとの思いが、以前にも増して強くなるのです。

 

 

本書にある調査結果として、陪審員の例があります。

陪審員は示された判断材料をもとに審判を下すわけですが、裁判官が特定の判断材料を公に判断材料として認めない、と宣言すると、逆にその判断材料を意識して審判を下してしまうらしいのです。

 

成熟した大人ですら、禁止されたものは逆に重要視してしまうのです。

子供が好きなゲームを禁止すれば、逆にやりたい欲求は高まります。

 

禁止してどうにかるなら、マッキーだって覚醒剤やってないですから。

 

ゲームというものの垣根は微妙になってきています。

脳トレだったり教材としてのゲームだったり。

スマホみんなもってるような時代ですし、禁止しても、具体的にどう物理的に禁止すんの?という気もします。

子供が自主的にゲームの時間を減らすようなことを考えない限りは、こっそりゲームしますよね。

 

実際、ゲームを無条件に禁止しなければならないかと言えば、そんなことはないでしょう。

私はゲーム好きで、学生の頃はかなりやってました。それこそ何時間もぶっ通しで。

でも、それなりに健全な大人になっているとは思います。

 

■行動原理に目を向けたほうが、きっと健全に行動を変えられる

ゲーム依存になって抜け出せない人間がいるのも事実なのはわかります。

 

議論は、依存になった人への対策ではなく、依存にならないようにする対策ですよね。

依存になったら完全に遠ざける必要があるのはたしかです。

が、そうなる前なら前述の私の主張のように、有効な対策は禁止ではありません。

 

で、こういう時に有効なのは、別の報酬を与えることなのです。

ビデオゲームによる確実で即時なフィードバック以外の、何らかの報酬。

ゲーム以外の、短期的に楽しい報酬が得られる何かを与えられるのがベストですね。

 

単純に考えれば、他の遊びです。

家族との遊びかもそれないし、友達とのカードゲームかもしれない。

共働きで家族と遊ぶのが無理ってんなら、自治体はゲームを禁止するよりも家族と遊びやすくする機会づくりに目を向けたほうが良いのです。

 

行動を定着させることと同様、何かをやめるというのも行動を変えることです。

人の行動原理に目を向けると、行動は変わるのだと私は信じています。

 

★終わり★