凡人が成果を出すための習慣

残業ゼロで成果を出すには、どうしましょうか?

優先度を決めないことは、マネジメントの怠慢

こんにちは。

爽一郎です。

 

とある友人から愚痴をこぼされたことがあります。

彼はある会議のファシリテーションをしました。

ブレストをして問題と対策を出し、次の行動を決めるという会議です。

その会議が終わった時のこと。

会議にオブザーバとして参加していた別の部署の課長が、その同僚に指摘しました。

 

「あなたは、どの問題にフォーカスするなどの優先度を決めようとしすぎる。

 もっとすべてを同時に進めるようなことを考えないと、ブレイクスルーは生まれないよ。」

 

その友人は、どの問題についてフォーカスするか決め、その問題についての対策を議論するという進め方をしました。

問題は多いので、どの問題が解決の優先度の高いもので、みなで議論すべきものであるかを決めないと時間が足りないからです。

参加者はみな忙しい。だから、しょっちゅう人を集めることもできない。

彼なりに1時間の会議の中で成果を出そうと、考えた結果でした。

 

それなのに、全部の問題について考えないと素晴らしい案は出ないよ、という旨の指摘を受けたわけです。

納得いかない。

 

と、そんな愚痴を私は友人からもらいました。

 

友人側の情報しかないので、客観的にはその話を論ずることはできません。

ブレイクスルーを考える思考は、時には必要でしょう。

が、少なくとも話を聞く限りは、一時間の会議でそんな夢のようなブレイクスルーは難しそうでした。

そして私は、そのオブザーバの課長は難しいことを避けている、と思いました。

 

え?優先度をつけずにすべての問題を解決する方策を考えるほうが難しいでしょ?

課長さんは難しいことしろって言ってるじゃん。

 

そう思う人はいるでしょう。

確かにその通り。ですが、私が言いたいのは、難しいマネジメントとしての判断を怠っている、という意味です。

 

■優先度を決めて集中することこそマネジメント

かつての上司がこんなことを言っていました。

 

「新しい業務が出てきたとき、できない、ではなく20%でも30%でも、すすめる方法を考えろ。」

 

確かに、できない、といってはねのけてしまうよりも少しでも進めようと考えるほうが建設的な気がしますね。

ですが、むやみにこの行為を行うことは、マネジメントの視点から見ると愚かな行為です。

 

なぜなら、優先度を決めることはマネジメントの基本であり、何もかもに中途半端にリソースを投入しても何も成し遂げられないからです。

 

マネジメントの父たるドラッカー教授は優先度を決めて集中することの重要性について繰り返し述べています。

 

優先順位の高い目標に資源を集中することなしに、成果をあげることはできない。

 

 

 インテルをマイクロプロセッサの世界で成功に導き、Googleの目標管理制度にも影響を与えたインテル社元CEOのアンディ・グローブ氏。

彼も、著書の中で優先度を決めるということがマネジメントに必要なものであると、巧みに表現しています。

 

マネジメントの〝技術〟というのは、一見比較してみて同じくらいの重要度を持つ多くの活動から、テコ作用の優れたものをひとつ、2つ、あるいはせいぜい3つほど選び出して、それに集中する能力にある。

 

 

マネジメントの原則は、優先度を決めて集中したリソース投下をすることなのです。

 

■それでも全てに手を出そうとするのはなぜか

多くの成功者や教科書的なものが「優先度を決めろ」と言うにもかかわらず、なぜこうも優先度をつけずに多くを取りたがるのでしょうか?

 

一つは、それが評価されるからです。

何もかも実現せよ。

できない理由より、できる方法を考えろ。

上司から見ると、そんな要望に応える人間はとても有能に感じる存在です。

そういう人が迎合され、出世してきたのかもしれません。

なんでもやってくれるように見えるから、評価は上がりますよね。

実際には中途半端な成果しかでないとしても。

 

もう一つは、優先度を決めないことは楽だからです。

何かをやめるという意思決定がいらないのです。

前述の元インテルCEOのアンディ・グローブ氏は業務をフォーカスする重要性についてこうも語っています。

 

何かにコミットするのは、他のことにコミットする機会を放棄することにほかならない。もちろんこれは有限な経営資源を配分するうえで避けがたい結果である。計画を立てる立場の者は、プロジェクトを開始するだけでなく打ち切る、「イエス」とほほ笑むだけでなくきっぱり「ノー」と言うための胆力と誠実さと規律を持たなければならない。すべてに注力しようとすれば何事にも注力できないことを理解し、その理解に基づいて行動しなければならない。

 

 

何かをしない、という選択肢を取ることは、胆力や誠実さが必要な、一つの難しい意思決定なのです。

 

全てを20%だとしてもやる、というのは大変です。

チームで実施することなら、メンバーに負担をかけてしまうことでしょう。その割には集中できないので成果は低い。

それがプライベートな活動なら、一人でいろいろこなす肉体的なしんどさも伴うかもしれません。

ですが、そんな負担をとってしまうぐらいに、全て受け入れて良い人と思われたい。

そして、物事の優先度を考えるということを人は避けようとするのです。

 

ビジネスでもプライベートでも、何かをする時は優先度を決めるべきです。

成果に結びつく、最も優先される目標は何であるか。

それを論理的に考えて決断を下すことは、確かに大変で面倒な作業です。

ですが、それを考えることをしないのは、管理を疎かにしています。

組織の管理も、自分の管理も。

 

全てやるという決断は考えなくて良いので楽です。が、時間もリソースも有限です。長くは続かないし中途半端な結果になります。

そんな行いは、成果につながりません。

 

 

私は冒頭の友人にこう声をかけました。

 

「あなたはきっと、その課長よりも真摯に成果を出そうとしていると思う。」

 

 

★終わり★