凡人が成果を出すための習慣

残業ゼロで成果を出すには、どうしましょうか?

仕事・チャレンジ。つらいことも難易度を調整することで、集中できる状態を生み出せる

みなさんこんにちは。

爽一郎です。

 

人が成長して成果をだすためにはどうすればよいか。

これは答えのない課題です。

なにせ、人それぞれに適切な答えが異なりますから。

 

ですが、ヒトという生物の心理から見た、成長するための法則であれば、一定の答えがあります。

それは、フロー状態を見つけることです。

 

フロー状態とは、周りのことを気にせず、集中してその行動に没頭できている状態です。

ゾーンに入る、なんて言い方もありますね。

 

アメリカの心理学者、チクセント・ミハイ氏は芸術家が創作活動に何時間も没頭する現象を解き明かす研究をしました。

著書『フロー体験 喜びの現象学』でその没頭している状態を『フロー』と名付けました。

 

■ 回転寿司はつらいよ

話は変わりますが、私が仕事についていけず、つらい思いをしたアルバイトがあります。

 

学生のころ、回転寿司屋店でアルバイトをしていました。

有名なチェーン店ではなかったですが、一般的な回転寿司の店と同じような店です。

現在の回転寿司店と異なるのは、注文をタブレットで選ぶものではなく、もう少しアナログな方法だったことです。

各客席にあるインターフォンのようなものでボタンを押すと、厨房内で寿司を握っているバイトにつながります。

そうして、バイトが「ご注文をどうぞ!」と声を出し、客はそのインターフォンに向かって口頭で注文する仕組みでした。

 

そこまで忙しくない時間帯は、問題ありません。

が、ディナータイムになって満席になると状況は一変します。

 

客は注文します。

「エビ、タマゴ、タコ、サーモン2つ、イクラ、ハマチ2つ。あとパイナップル」

…口頭で言われても正直覚えられない。

しかも、ディナータイムともなればそんな一括大量注文が、家族団らんのテーブルからわんさか来る。

普通の人間にさばききれるものではありませんでした。

 

今はタブレットでボタンを押して注文!とシステマティックになって何よりです。

 

が、今から15年ほど前のその当時は、口頭での注文が当たり前だったのです。

客も、「大量に注文してもきっと大丈夫なようになってる」と思っていたでしょう。

そもそも大量に注文したら覚えられないよね、なんてことは考えない人のほうが多かったに違いありません。

だって客なのですから。店の事情など気にせずご飯を楽しむのは当然です。

 

そんなこんなでディナータイムはてんてこ舞いでした。

一部のやり手のバイトは華麗に全ての注文をこなします。

が、私を始め、多くのバイトは対応できずに注文の対応漏れを起こしていました。

5つ注文されたら1つは忘れてしまう。

そして注文漏れのクレームが客から入り、覚えていた注文対応を中断してクレームが来た寿司を流す。また注文漏れが起きる。

極悪循環です。

で、優秀なスーパーバイトみたく華麗にこなせない人は店長から注意を受けるのでした。

 

厨房の寿司のそばに鉛筆は置けません。寿司に芯が入って異物混入しちゃう恐れがありますからね。

よって、注文はメモが取れる状態ではありませんでした。

ですが、今思えば、何らかの方法で注文の寿司を記録しておくことはできたでしょう。タコとか文字の書いた板を注文通りに並べていくとか。

その業務は、なんらかのマニュアルやノウハウ、仕組みがないと到底回せないものです。

そんな仕組みを店が考えるべき、というのはその通りです。が、それはさておき。

今でも私は当時の私が注文を華麗にこなすにはどうしたらよかったのか、考えることがあります。

 

なお、スーパーバイトたちは何度もその過酷な状況を経験し続け、どんな多くの注文でも覚えられる状態にあったようです。

「1年ぐらいやってると、できるようになるよ。」ということでしたが、正直それはつらい。

  

■難易度をちょうどよいレベルに設定する

冒頭のフローの話に戻りましょう。

チクセント・ミハイ氏はフロー状態を得る条件を、簡単すぎず難しすぎず、少し頑張ることでこなすことができる課題に取り組んでいるとき、と述べています。

簡単すぎることは、退屈です。

難しすぎることは、絶望して心が折れます。

ギリギリ超えられるハードルに挑むときに、最も充実感と達成感を得られ、集中力が現れるというのです。

例を挙げましょう。

ゲームを何時間もぶっ通しで、集中してプレイしたことはありませんか?

心理学に精通したニューヨーク大学マーケティング学科准教授であるアダム・オルター氏は著書『僕らはそれに抵抗できない』で、ファミコンスーパーマリオブラザーズを例にとって、達成感を得るための要素について次のように述べています。

 

『コントローラーのボタンを適当にいじっても特に困ったことにはならないので、とりあえず動かしながら、マリオをジャンプさせたり歩かせたりする操作方法を学習していく。進行方向も右と決まっているので迷わない。説明書を読まずとも、どのボタンが何に割り当てられているか操作しながら覚えていけるので、経験を通じて知識を獲得する達成感も味わえる。つまり、ゲーム開始の最初の数分間が、「ユーザーに遊び方を教える」、そして「何も教えられていない(自分の力で学んでいる)という感覚を味わわせる」という、2つの難しい役割を同時に、そして見事に果たしているというわけだ。』

  

 

マリオを動かしながら少しずつ操作を覚えていく。

クリボーに倒されては攻略法を覚えていく。

そうやって、少し難しいレベルのことを繰り返した最終的にクッパを倒せるまでプレイヤーは自分でうまくなっていくのです。

それは、まさにフローの継続で自律的な成長がなされている状態と言えます。

 

少し難しいことができて達成感を得る。

もう少し難しいことをこなしてまた達成感を得る。

これは人が心理的に求めるフロー状態なのです。

 

私は寿司屋のアルバイトでは急に難易度の高い大量注文という壁に合い、心が折れました。

達成感を得ることなく、太刀打ちできずに引っ越しに伴ってアルバイトはやめました。

が、とりあえず3つは覚えよう、と考えて初めに言われた3つの注文だけに集中すればよかったのかもしれません。

どうせ注文漏れが発生するのですから、3つに集中しても同じことでしょう。

そうして3つが完璧にこなせるようになったら、4つ、5つと覚える数を増やしたらよかったかもしれません。

客に「ご注文は一度に3つまででお願いします!」と伝えてもよかったかもしれません。

 

そうすることで、自分が仕事をこなせるようなっていっているという達成感を感じてフロー状態を得られたかもしれません。

 

今思えば、成長に工夫が足りなかったか、とも思えます。

もちろん、店側の努力が足りないという大前提はありますが。

 

自分が頑張れば超えられるハードル。

もし部下を育てる立場であれば、部下が頑張れば超えられるハードル。

それを適切に設定することで、フロー状態を狙って発生させることができます。

いきなり難しすぎる仕事をする・させるのは、絶望感にまみれてしまいます。

それを乗り越えられる人もいるでしょう。しかしそうでない人間のほうが多いのです。

 


 

★終わり★